【消費税】原則課税と簡易課税

消費税として納付する金額はどのように計算するのでしょうか?

簡単な例として、

①売上    2,000万円(税抜)
②仕入・経費    400万円(税抜)

である場合について確認しましょう。

原則課税

原則は

①売上で預かった消費税から
②仕入・経費として支払った消費税を差し引く
この残りの金額が納付する金額になります。
上の例でみると、

①売上で預かった消費税は
2,000万円×8%=160万円

②仕入として支払った消費税は
400万円×8%=32万円

③ ①-②=128万円

この③の128万円が納付する金額になります。

※消費税率は2019年2月時点の税率となります。

簡易課税

事業者のうち、
・個人事業者は、2年前の売上高が5,000万円以下
・法人事業者は、2期前の売上高が5,000万円以下(※注1)
であれば、この簡易課税を選択することができます。
※注1 1期が1年であることを前提としています。

簡易課税は

①売上で預かった消費税から
②仕入・経費として支払った消費税を推定して差し引く
この残りの金額が納付する金額になります。
原則課税と異なるのは「推定して」というところです。

業種ごとに、
「売上で預かった消費税の〇%が仕入・経費として支払った消費税です。」
と法律で決まっています。

業種ごとの率は下記のとおりです。

卸売業 90%
小売業 80%
製造業等 70%
その他の事業 60%
サービス業等 50%
不動産業 40%

上の例が小売業だったとしましょう。

①売上で預かった消費税は
2,000万円×8%=160万円

ここまでは原則課税と同じです。

②仕入として支払った消費税は
売上で預かった消費税160万円、
小売業なので率は80%となります。

よって、
160万円×80%=128万円

③ ①-②=32万円

この③の32万円が納付する金額になります。

どちらを選ぶのか?

上の例では簡易課税を選択したほうが納付する金額が少なくなりました。
では、原則課税と簡易課税とどちらを選ぶのがいいのでしょうか?

ポイントは原則課税と簡易課税の違いです。

仕入・経費として支払った消費税

仕入・経費として支払った消費税を推定した金額
どちらが多いかを確認することです。

残念ながら、どちらが多いかを自分で確認するのは難しいです。
税理士に確認することをおすすめします。

なぜ難しいのか?

おおまかな原因として、

①仕入・経費として支払った消費税がいくらになるか?
仕入・経費について、一つづつ、
「消費税が含まれているか、含まれていないか」
判断する必要があります。

②仕入・経費として支払った消費税を推定した金額がいくらになるか?
売上を業種ごとに区分する必要があります。
「この業種を営んでいるから全部この業種」
というわけではありません。
売上について、一つづつ、
「どの業種になるのか」
判断する必要があります。

③簡易課税は2年間やめられない
簡易課税の適用を受ける場合、届出が必要になります。
届出は、簡易課税を受けたい年(期)が始まる前に提出しなければなりません(※注2)
届出すると、2年間やめることはできません。
2年間を見越して考える必要があります。
※注2 事業を始めた年(期)はその年(期)が終わるまでになります。

そのほか、ここでは割愛しますが、
一定の事由に該当した場合、簡易課税を受けることができない
ということもあります。

税理士に必ず伝えてほしいこと

原則課税と簡易課税とどちらを選ぶのがいいのか?
自分で考えるのは難しそうですね。

では、税理士に頼むとして、
あなたが伝えなければならないことはなんでしょうか?

ポイントは
仕入・経費として支払った消費税

仕入・経費として支払った消費税を推定した金額
どちらかが極端にかわることを予定している
ということです。

具体的には、

①不動産を取得あるいは売却するとき
②設備投資を行うとき
③株などの有価証券の譲渡を行うとき
④輸出入取引を行うとき
⑤売上が激増又は激減するとき
⑥業態を変更又は追加するとき
⑦仕入れ率が大きく変化したとき
⑧会社の合併、分割、事業譲渡等の組織再編を行うとき

このようなことを予定している場合は、
実施する年(期)が始まる前に
必ず伝えましょう!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする