グラフで見る!65万円の青色申告特別控除で税金はどのぐらいかわるのか?

この記事は個人事業者向けの記事です。

青色申告特別控除

個人で事業を営んでいる場合、毎年、確定申告をする必要があるのはご存知のとおりです。

確定申告して支払う税金を少しでも安くしたいと思ったときに、まず検討するのが青色申告制度ではないでしょうか。青色申告制度にはさまざまな特典があり、青色申告の承認申請書を青色申告制度を利用したいと思っている年の3月15日までに申請することで利用することが可能です。

特典の詳細、新規に事業を開始した場合や相続した場合の期日などについては、下記のURLを参考にしてください。

青色申告制度の特典の中で、大きな特典のひとつが65万円の青色申告特別控除です。おおまかには、複式簿記で帳簿をつけて、期限内に申告をすると、経費として65万円を追加することができます。

青色申告特別控除の詳細は下記のURLを参考にしてください。

事業を営んでいること
上記のURLをみると、
「不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。」
と記載されています。
不動産賃貸や副業を行っている場合、所得税法上の事業に該当するかしないかを検討する必要があります。青色申告制度を利用できるかどうか、事前に税務署に確認しましょう。

青色申告特別控除は正しい節税対策

基本的に、節税対策を行うと資金繰りは悪化します
節税=お金が溜まる
というイメージが強いと思いますが、実は真逆です。
なぜなら、節税対策には、税金を払う以上の支出が必要となることがほとんどだからです。よければ、下記の記事もご覧ください。

この記事は事業者向けの記事です。 節税対策をおこなっているのにお金が貯まらない 節税対策をおこなえばお金が貯まるんじ...

しかし、この青色申告特別控除は、一銭の支出がなくてもでできる数少ない節税方法です。ですから、積極的にご利用ください。

税金はどのぐらいかわるのか?

では、65万円の青色申告特別控除を利用すると、税金はどのぐらい減るのでしょうか。

税金の種類

65万円の青色申告特別控除を利用することでかわる税金は、
①所得税(復興特別所得税)
②住民税
の2つです。

この記事では、計算を簡素化するために復興特別所得税は考慮していません。

減る税額

65万円の青色申告特別控除を利用することで減る税額は、課税所得(ざっくりした意味では利益だと考えてください。)によってかわってきます。

上の図は、65万円の青色申告特別控除を利用することで減る税額が、課税所得によってどのように変化するのかを表したグラフです。税額は所得税と住民税の合計額となっています。

所得税と住民税では、所得控除額に違いがあるものの、ここでは考慮していません。(目安を伝えることを目的としていますので、所得控除額がわからない場合は無視してください。)

グラフの形状は少しいびつな階段状のようなものとなっています。これは、住民税の税率が一律10%であるのに対して、所得税の税率は一定の課税所得になると税率が増加するからです。

また、きれいな階段状ではなく、少しいびつな形状となったのは、所得税の税率が変化する課税所得の前後で65万円の青色申告特別控除の影響額がかわるため、減る税額はゆるやかに増加することになります。

グラフの特徴をもう少し具体的にまとめると、65万円の青色申告特別控除を利用することで、税金は下記の表(課税所得400万円まで)のように変わっていきます。

課税所得 税金
65万円まで 税金はかかりません。
65万円超195万円まで 一律97,500円減少
195万円超260万円まで 1万円増えるごとに+500円減少
260万円超330万円まで 一律130,000円減少
330万円超395万円まで 1万円増えるごとに+1,000円減少
395万円超695万円まで 一律195,000円減少

※実際には住民税の均等割などがありますので、上記のとおりとはなりません。あくまでも目安としてご利用ください。

税理士報酬との兼ね合い

65万円の青色申告特別控除の適用を受けたいと思っても、ネックになってくるのが帳簿をつけることだと思います。さらに、帳簿は複式簿記でつけると言われても、複式簿記がわからなければつけることができません。そこで、税理士に依頼したいと思うかもしません。

税理士に依頼すると、税理士に報酬を支払う必要があります。65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためだけに税理士に依頼するのであれば、報酬よりも減る税金が多くなければ意味がありません。金額のみを判断基準とした場合、少なくとも65万円超の利益は出ていないと意味がありません。

もちろん、帳簿付けだけが税理士の本来の仕事ではありません。ですから、金額のみを判断するのではなく、
・自分が本来の業務に集中できるようにする
・税金で困ったときに相談にのってもらえる
・事業の業績についての指導が受けられる
など、上記の金額と税理士に依頼することで得られるあなたの利便性をあわせて検討してみてください。そのときに、上記の金額も参考の一助としてください。