確定申告しなくて大丈夫?デザイナーとして個人で仕事をする場合

この記事は、デザイナーとして働く個人事業主(フリーランス)向けの記事です。

確定申告をしなくてもいいのか?

ご存知のとおり、個人で事業を行う場合、確定申告を行う必要があります。しかし、事業を開始してから間がなく、なかなか売上があがらず、赤字になっている場合もあります。所得税は基本的には利益に対して課される税金であるため、赤字で利益がでていなければ、所得税がかからないので、確定申告をしなくても大丈夫と思っていませんか?

デザイナーとして仕事をしているあなたは、たとえ赤字であっても確定申告をしてください。

デザイナー以外の職種のお友達や知り合いから、「赤字だから確定申告しなくても大丈夫」と聞いたとしても鵜呑みにしてはいけません。それはデザイナーに対する独特の精度があるからです。

確定申告をしなくてもいい場合でも確定申告を!

では、デザイナーに対する独特の精度とは何でしょうか。その独特の精度とは、
①源泉徴収制度
②法定調書
の2つです。

それぞれの精度について、簡単に説明していきます。

源泉徴収制度

源泉徴収制度とは、取引先があなたにかわって、あなたの所得税を国に納付する制度をいいます。

具体的には、取引先があなたに報酬を支払うときに、報酬から一定の所得税を差し引いて、あなたに報酬を支払います。取引先は、この一定の所得税を翌月10日までに、国に納付します。

本来であれば、取引先はあなたに報酬の全額を支払い、あなたがこの報酬に対する所得税を国に納付するものですが、デザイナーの場合は、取引先があなたにかわって、あなたの所得税を国に納付します。言い換えると、あなたは所得税を前払いしている状態ということです。

ただし、取引先のすべてが、あなたにかわって、あなたの所得税を国に納付するわけではありません。どのような取引先が、あなたにかわって、あなたの所得税を国に納付するかというと、取引先が法人や従業員をかかえている個人事業主があなたに報酬を支払う場合です。したがって、一般消費者があなたに報酬を支払う場合には報酬の全額が支払われます。

見方にもよりますが、報酬の全額が振り込まれないので嫌だと思うかもしれませんが、この記事の前提としている、赤字ではなく、黒字の場合にはメリットもあります。

順調に売上があがりはじめ、多額の利益がでた場合は、基本的に翌年の3月15日にいっぺんに所得税を支払う必要があります。もちろん、多額の利益がでているので所得税の金額も大きくなります。

しかし、上記にも記載しているとおり、あなたは所得税を前払いしている状態です。ですから、この前払いしている所得税は翌年3月15日に支払う所得税から差し引かれるため、いっぺんに所得税を支払う負担は軽減されます。

少し話が脱線しましたが、赤字の場合はどうなるかというと、本来赤字だから、支払わなくてもいい所得税をあなたは前払している状態になっているので、確定申告をすれば、所得税が戻ってくるということになります。

ですから、赤字でも確定申告をして、前払いした所得税を返金してもらいましょう。

法定調書

上記の源泉徴収制度に関連した制度になりますが、法定調書という制度があります。法定調書とは、源泉徴収制度に記載した取引先が1月31日までに、前年の1月1日から12月31日までに、あなたに支払った報酬と、差し引いた所得税を集計して国に報告する制度をいいます。

国に報告する必要があるのは、あなたに支払った報酬が5万円以上の場合ですが、かなり少額ですので、ほとんどの場合が対象となります。

また、このとき、あなたに支払った報酬が5万円以上であるかどうかにかかわらず、同じ資料を作成し、あなたに渡すことになっています。帳簿をきっちりとつけていれば、なくても問題ありませんが、確認資料として利用しましょう。もし、帳簿をつけていない場合はこれらの資料を確定申告の際に利用しましょう。

もし、取引先から資料が送られていない場合は、必要に応じて取引先に請求してください。法律で定められた制度ですので、取引先は拒否することはできません。

それは脱税です!
残念ながら、個人だから売上抜いても問題ないとか考えている人がいらっしゃいますが、それは脱税です。上記のような制度もあり、あなたの報酬は国に報告されています。また、この制度の有無に関係なく国はそんなにあまくありません。罰金も相当かかります。きちんと確定申告をしましょう。

デザイナー以外に、こんな人も

この記事ではあなたがデザイナーであることを前提として記載しましたが、デザイナー以外にも源泉徴収制度が適用される仕事があります。参考として、代表的なものを記載しておきます。

原稿執筆の報酬
写真の報酬
講演の報酬
翻訳の報酬
モデルの報酬
保険外交員の報酬
士業に支払う報酬(行政書士など一定のものを除く)
など

注:法定調書について、国に報告する金額の基準は報酬の種類によって異なります。