ほんとに利益があがるのか?コストカットを考える

この記事は事業者・経営者向けの記事です。

利益をあげるためには

利益は売上から仕入(売上原価)や経費を差し引いて計算されます。つまり、
利益=売上-仕入(売上原価)-経費
ですね。単純に考えると利益をあげるためには、仕入(売上原価)や経費をさげれば、売り上げがあがらなくても利益は大きくなります。しかし、ほんとにこんな単純に考えていいのでしょうか。

結論から言うと間違いです

では、なにが間違いなのでしょうか。仕入(売上原価)と経費について順番にみてみましょう。

仕入(売上原価)について考えよう

仕入(売上原価)は、間違いなく単純にさげればいいというものではありません。仕入(売上原価)はあなたの戦略が大きく影響します。

売上は、分解すると、客単価×客数×来客頻度として算式で表すことができます。売上をあげるためには
・客単価をあげる
・客数を増やす
・来客頻度を増やす
のいずれかとなります。

まず、わかりやすい戦略が仕入(売上原価)をさげて、商品自体の価格をさげることで、「客数を増やす」もしくは「来客頻度を増やす」戦略が考えられます。しかし、商品自体の価格はさがっていますので「客単価は下がり」ます。

次に、仕入(売上原価)をあげて、商品自体の価格をあげることで、「客単価をあげる」戦略が考えられます。上記とは逆に、「客数は減り」「来客頻度も減り」ます。

上記は、代表的な戦略を紹介したにすぎません。上記以外にも「客単価はそのまま」で、「来客頻度を増やす」などバリエーションは豊富にありますが、根本の考え方はいずれも売上から仕入(売上原価)を差し引いた売上総利益(粗利)を大きくすることです。

ですから、あなたの戦略が仕入(売上原価)をさげることとマッチした戦略である場合以外はさげてはいけません。また、当たり前ですが、仕入(売上原価)をさげることによって、商品自体の品質に問題がでるようではお話になりません。

経費について考えよう

経費は経費の種類によって、コストカットしていいものわるいものがあります。その種類をおおまかにわけると、次のとおりです。
・人件費
・金利
・売上があがらなくてもかかる固定費
・売上があがる固定費

それぞれについて、順番にみていきます。

人件費

いわずもがな人件費は単純にコストカットしてはいけないのはわかりますね?

あくまでも相手は人です。単純に給料をさげれば、やる気がなくなります。給料以外にも福利厚生がなくなれば、やる気がなくなります。だからと言って給料や福利厚生をやみくもに増やせばいいというものではありません。給料や福利厚生にかかる費用が増えているにもかかわらず、期待する売上に貢献できていないようであれば意味がありません。

もしかすると、組織的に人を有効に利用できていないのかもしれませんし、たいへん難しいのがこの人件費です。

金利

金利はコストカットしていい経費です。できるものはコストカットしましょう。

ただし、注意点があります。金利をコストカットするということは、基本的には元金を返済するということになります。資金繰りがままならないのに金利をコストカットするために元金を返済しては余計に資金繰りが悪くなります。資金繰りが悪くない、もしくは他の銀行で借り換えが可能である場合に検討するといいでしょう。

特にカードでキャッシング、分割払いやリボ払いを行っている場合は高い利率の利息を払っていることがあるので、その場合は銀行からの融資も検討しましょう。

ですから、金利は資金繰りを考慮しながら、コストカットすべきものになります。

売上があがらなくてもかかる固定費

売上があがらなくてもかかる固定費はコストカットしましょう。

ただし、こちらも注意点があります。それは人から受けるサービスに支払う固定費の値下げ請求をしてはいけません。人件費と同じく相手は人です。この固定費を値下げ請求するとサービス自体の品質が落ちる可能性が往々にしてあります。これが、物を購入する、もしくは人以外のサービス(物を賃借する、電気代を払う、電話代を支払うなど)であれば、コストカットしても基本的には品質は同じです。

ですから、コストカットするのは物を購入する、もしくは人以外のサービスに限ります

売上があがる固定費

売上があがる固定費はコストカットしてはいけません

この固定費のわかりやすい例として広告費が挙げられます。ひと昔前であれば、広告を出せば出すほど売上が増加しましたが、昨今の経済状況では単純にこのように言うことができなくなりました。だからと言ってコストカットしてはいけません。売上をあげるための固定費であることにはかわりないのですから。

この固定費はコストをかけながら、売上があがっているのか観察し、コストをかけるべき場所を変えるものです。コストをかけたにもかかわらず、売上があがらないのであれば、その媒体もしくはターゲットとしている客層が違うのかもしません。その場合は媒体を変える、ターゲットとしている客層を変えるなどの戦略が必要になります。

ここでは、わかりやすい例として広告費を挙げましたが、もちろん広告費以外にも存在します。あなたの会社の財産が人材であると認識しているのであれば、教育費のコストをかけることで、よりよい商品ができ、売上があがると認識していると思います。この場合も「売上があがる固定費」としてコストカットしてはいけません。あなたの会社の社風によるところもあるので、この分類になるコストをぜひ再考してみてください。