今さら聞けない!利益と儲けの違い

この記事は、個人事業者または法人経営者で、事業を始めたばかりの方向けの記事です。

利益と儲けは違う

利益と儲けは、すごく似ていて同じように感じるかもしれませんが、同じものではありません。利益は売上から仕入や経費を差し引いて計算します。儲けも同じように計算します。でも、この2つは大きくことなります。

利益と儲けの違いはお金が入っているか、いないか

ということなんです。

利益を計算するときは、売上・仕入・経費のいずれも、お金が入っているか、いなかで集計するわけではありません。売上の場合は、商品を納品したとき、もしくはサービスの提供が終わったタイミングで売上として計算します。仕入や経費の場合は、売上とは逆に、商品の納品を受けたとき、もしくはサービスの提供を受けたタイミングで仕入や経費として計算します。(ここからはサービスの提供も簡略化して、すべて商品としてお話します。)

ですから、着手金としてお金をもらっていても、商品を納品していない場合は売上から除く必要がありますし、先払いしてお金を払っていても、商品が納品されていない場合は、仕入や経費から除く必要があります。

また、お金をもらっていなくても、商品を納品していたら、売上として計算する必要がありますし、お金を支払っていなくても、商品が納品されている場合は、仕入や経費として計算する必要があります。

これに対して、儲けはお金が入ってきたときに売上、お金を支払ったときに仕入や経費として計算します。

しかし、日々の帳簿をつけているときは、お金が入ってきたときに売上を、支払ったときに仕入や経費を計算していると思います。それは、商品を納品してからお金が入ってくるまで、もしくは商品が納品されてからお金を支払うまでの期間が非常に短かったり、事務負担を軽減する目的で利益と儲けを同じように扱っているからで、決して利益と儲けが同じだからではありません。

月々の帳簿の処理では問題ありませんが、12月末や決算期末には調整が必要となります。

キャッシュフロー経営がいいのか?

一時期、利益がわかる資料(この資料を損益計算書といいます。)よりも、儲けがわかる資料(キャッシュフロー計算書)で経営すべきだという意見が盛り上がったことがあります。「勘定あって銭足らず」といわれるように、利益は出ているのに、儲けがなく、たくさんの会社が倒産した時期です。

事業の要はお金です。資金繰りです。

その言葉に間違いはありません。そのとおりです。ですが、勘違いしないでください。キャッシュフロー計算書だけでいいというわけではありません。キャッシュフロー計算書でお金の流れは確かにわかります。しかし、売上がいくらあって、そこから、仕入がいくらあって、さらには人件費・固定費などの経費があってと、お金を稼ぎだすプロセスはキャッシュフロー計算書ではわかりません。そこは、やはり損益計算書が必要になります。

つまり、損益計算書とキャッシュフロー計算書をともに利用すべきだということなんです。
※これ以外にも利用すべき資料がありますが、記事の趣旨からはずれるので、ここでは割愛しています。

やっぱり利益は大事!

お金を稼ぎだすプロセスを見るためには損益計算書が必要となります。前回の記事で、経営の目標として、はじめに税引後当期純利益を確定することについて記載しました。

この記事は個人事業者・経営者向けの記事です。 目標を決めていますか? 個人事業者であれば12月末もしくは1月月初、法人の...

この中で、税引後当期純利益をいくらにするかお話をし、銀行の借入がある場合は1年間の元金返済額を設定するといいと記載しました。上記のように利益と儲けは違います。利益には反映されていない銀行の借入の元金返済額などは、キャッシュフロー計算書をみればわかります。この反映されていない金額を利益に設定することで、売上まで逆算して、さらに売上を分解することで販売計画などの行動目標まで落とし込むことができるのです。

キャッシュフロー計算書から必要な情報を取り出し、目標の利益金額として設定し、この利益を確保することで、より経営は安定したものとなります。