一から始める。試算表のあれこれ

この記事は事業を始めた方向けの記事です。

そもそも、試算表って何?

はじめて銀行からの借り入れを検討しているような場合、銀行から「試算表を提出してください」と言われて、「試算表ってなんだ?」と困っていませんか?今まで、簿記に携わる仕事をしたことがなければ、当然の疑問です。

事業を始めると、本業以外にも避けて通れない作業が発生します。その一つが経理処理です。個人であれ、法人であれ、事業を始めると必ず必要な作業になります。なぜなら、取引の内容を帳簿に記録することが法律によって義務付けられているからです。

では、なぜ取引の内容を帳簿に記録する必要があるのでしょうか。
「税金を計算するため」
という回答が多くの場合、はじめに浮かぶのではないでしょうか。

もう一歩、つっこんで確認します。では、なぜ税金を計算するために、取引の内容を帳簿に記載する必要があるのでしょうか。

それは、取引の内容を帳簿に記録し、この記録した内容をもとに集計し、税金を計算するために必要な金額を計算するためです。

この記録した内容をもとに集計した表が試算表になります。

税金を計算するために必要な金額とは、単純に言うと利益がいくらかということです。個人の場合は所得税、法人の場合は法人税という税金を支払う必要があります。このいずれの税金も利益をもとに税金を計算します。

つまり、この試算表をみれば利益がわかるということになります。だから、銀行から借り入れをする場合に試算表の提出がもとめられることになります。

試算表っていつ作るの?

おおまかな作成時期

では、試算表はいつ作るのでしょうか。
①税金を計算するまでに作成したらいい
②銀行から借り入れをする前に作成したらいい
③毎月作成したらいい
など、いくつか選択肢が浮かんだのではないでしょうか。

①②も間違いではありませんが、ぜひ③を選択してください。
銀行から借り入れをする場合に、なぜ試算表を提出するのかは上記にて説明したとおりです。そもそも、試算表は利益を見るために作成します。

自分が事業をするのはなぜですか。生活するためにお金を稼ぐ、儲けることが目的であるはずです。そのためには利益がでないと困るはずです。利益がでていないのにお金を稼ぐ、儲けることはできません。利益がいくらか確認することは大事なことです。そんな大事なことなのにあなたは利益を確認しないのですか?

もしかすると、試算表を作っていないけど、感覚的にわかっているから大丈夫なんて思っていませんか?この方は要注意です。感覚的にわかっていることは非常に大事なことだとは思います。ですが、試算表にあらわされる数値は現実です。世の中、自分の感覚通り、思い通りには進みません。そんなとき、現実を見つめなおしますよね?ですから、試算表を作って、自分の感覚と現実を見つめなおしてください。

どうしても、毎月の作成が難しいということであれば、最低3ヶ月に一度は作成してください。それは、「税金を計算する」ことに関係します。9ヶ月目までの試算表を作成しておけば、残りの3ヶ月の利益は、受注金額や支払金額から、ある程度予想することは可能です。この利益がわかれば、税金をいくら支払う必要があるのか事前に知ることができます。資金繰りの面からも事前に把握することは大事です。

具体的な作成時期

毎月作成するとして、何日ごろに作成するのでしょうか。一般的に、試算表は1日~末日までの期間で作成します。そのため、1日~末日までの資料がそろったタイミングで作成します。

現金/預金のみ取引
翌月初あたり

カードでの支払がある
カードの締め日など、明細が取得できる時点

売掛金・買掛金を計上する場合
請求書の発行・受領が終わった時点
※請求書の発行は翌月初までに終わらせましょう

試算表ってどうやって作るの?

試算表を作成するには、基本的には簿記の知識が必要となります。だからといって、今から簿記をはじめようとは思わないでください。簿記をはじめようとすると、勘定科目であったり、貸方、借方、そして各取引の記録の仕方を一から勉強しなくてはいけません。時間もコストも費やす必要があります。

経営者が試算表を作ることを目的としてはいけません。経営者は試算表の見方やその見方の覚え方を学ぶべきです。もう一歩踏み込んでお話すると、残念ながら試算表はたいへん見方が難しいので、この試算表から経営に必要な数値を抽出したデータを見るべきです。

最近では、会計ソフトが優秀になってきているので、会計ソフトを使いましょう。会計ソフトにも一長一短ありますが、
・お金を一銭もかけたくない:フリーウェイ経理Lite(完全無料)
・Macユーザー:Freeeやマネーフォワードクラウド
・上記以外の方:弥生会計
あたりを使用してはいかがでしょうか。無料でなくてもそこまでコストがかかりません。また、入力方法のような説明が充実しています。

これらの会計ソフトの機能を使用して、基本的には入力しないことを心掛けてください。(残念ながら、フリーウェイ経理Liteはすべて自分で入力することを前提としています。)
また、借方・貸方が難しいと思うので、標準的にある現金出納帳や預金出納帳を使用してください。はじめての方であれば、この2つで始めることをお勧めします。慣れてきたら、売掛金や買掛金などを計上するなど、経営に必要な数値を抽出できるように処理を変更していきましょう。