この記事は領収書やレシートの入力を省力化したい方向けの記事です。
なぜ領収書をスキャンするのか?
事業を行っている方は、税金を計算する必要があります。税金を計算するときに必要となるのが、請求書、領収書、レシートなどの根拠となる資料です。そのため、これらの資料は、一定期間の間、保存する必要があります。
取引先が多い場合、これらの資料は膨大な量になってしまいます。膨大な量になると、
・入力に膨大な手間がかかる
・保存するためのスペースが必要となる
ことになります。そうすると、膨大な時間と費用を費やすことになってしまいます。
この解決策として、これらの資料をスキャンして電子化し、画像データをデータ化することによって、
・入力の手間を省く
・保存するためのスペースをなくす
試みが以前にも増して加速しています。
では、領収書やレシートをスキャンすると、本当に「入力の手間を省く」ことができるのでしょうか?
ここでは、
・どんな人がスキャンすると入力の手間を省くことができるのか?
・入力の手間を省くためには、どのように利用すればいいのか?
・スキャンするときのコツ
について、実際に使ってみた経験をもとに、まとめてみました。ここでは「入力の手間を省く」ことに重点をおいて考えてみます。
ここで大事な前提があります。
入力の手間を省くことができたけど、領収書やレシートのスキャンの手間が増えた、つまり、
領収書やレシートのスキャンの手間 ≧ 入力の手間
であれば、手間が増えるだけなのでやってはいけないということです。
現状が
領収書やレシートのスキャンの手間 < 入力の手間
という状態のときに、領収書やレシートのスキャンを利用するということです。
どんな人が領収書のスキャンに向いているのか?
どんな人がスキャンすると入力の手間を省くことができるのでしょうか?
そもそも、「現金での取引自体がない、もしくは、少ない」場合は、入力の手間がそれほどかからないので、領収書やレシートをわざわざスキャンするは必要はないと思います。キャッシュレス決済を導入して、現金での取引自体をなくす動きも活発になっていますが、現時点ではまだまだ領収書やレシートをもらうことのほうが多いので、今後の発展に期待といったところではないでしょうか。
「現金での取引自体がある」場合は、
①経理の経験が少ない方
②パソコンの操作に不慣れな方
③経理の時間が足りない方
に領収書やレシートのスキャンが向いていると思います。
経理の経験が少ない・パソコンの操作に不慣れな方
まず、①②についてみてみます。
①②の方が向いている理由は領収書のデータ化の精度に問題があるからです。
領収書やレシートをスキャンしてデータ化するまでのおおまかな流れは次のとおりです。
①領収書やレシートをスキャナまたはスマホで取り込む
②取り込んだ画像データをOCR処理によって文字認識する
③文字認識したデータを必要な箇所に設定する
ここで問題となるのが、②の「OCR処理」です。以前よりも精度は格段によくなったものの、まだまだ精度には問題があります。
・領収書が手書きだと文字認識しにくい
・同じ取引先から発行された領収書やレシートでも、文字認識する場合としない場合がある
・文字自体を誤認識する場合がある
・経理に必要な以外の情報を必要な情報だと誤認識する場合がある
など、残念ながら完璧とは言えません。ですから、領収書やレシートをスキャンしても必ず、取り込まれたデータが正しいかどうか確認する必要があります。
経理の経験がある方は、会計ソフトなどに直接入力されている場合が多いため、パソコンの操作にも慣れていると思います。そのような方からすると、領収書やレシートを見て直接入力したほうが早いと思います。つまり、
領収書やレシートのスキャンの手間 ≧ 入力の手間
となってしまいます。
ですから、経理の経験が少な方やパソコンの操作に不慣れな方は、
・経理を意識する必要が少なくなる
・パソコンの操作が少なるなる
・データを訂正するだけでいい
などのメリットが生まれ、
領収書やレシートのスキャンの手間 < 入力の手間
という状態になります。
経理の時間が足りない方
次に③について、みてみます。
③の方が向いているのは、経理処理を分散し、軽減することができるからです。
経理の経験がある方は、まとまった時間をとることができるのであれば、領収書やレシートをみて直接入力するほうが早いと思います。しかし、
・まとまった時間をとることができない
・処理量が膨大で時間が足りない
ということもあると思います。
まずは、スマホで領収書やレシートをスキャンすることをお試しください。スマホで処理ができれば、電車やバスでの移動時間中に処理することができるので、細切れの時間を利用して処理することができます。また、処理ができなくてもデータ化だけでもすれば、ある程度は文字認識をしてデータにしてくれるので、入力の補助として利用することができます。
次に、従業員を雇われている事業者に限られますが、
・領収書やレシートをスキャンするのみの人材を採用する
・各部署の従業員に領収書やレシートをスキャンしてもらう
ことを検討してください。
経理の知識を持った人材を雇うには、費用もかかりますし、知識を持った人材を探すことにも苦労するかもしれません。領収書やレシートをスキャンすることであれば、経理の知識を持っていなくても誰にでもできると思います。経理の知識がない人材を雇うのと経理の知識をもった人材を雇うのとでは、費用もおさえることができ、人材を探すことにも苦労することはないのではないでしょうか。
また、そもそも新たに人材を採用することが難しいこともあるかと思います。その場合は各部署の従業員にその部署で発生した領収書やレシートをスキャンしてもらってはいかがでしょうか。
このようにすれば、今ある経理の知識を持った人材のみでも、経理処理を分散しながら、軽減しながら処理することは可能であると思います。