利益と儲けは違う!ややこしくする減価償却

この記事は個人事業主、小規模事業者向けの記事です。

利益と儲けが違う大きな要因

利益と儲けは異なります。その理由はさまざまなものがありますが、この主な要因として減価償却が挙げられます。特に、機械をたくさん所有する事業者の場合、この減価償却の結果として、費用となる減価償却費が大きくなります。そのため、利益と儲けは大きく異なります。

利益と儲けとの違いは、下記の記事を参考にしてください。

この記事は、個人事業者または法人経営者で、事業を始めたばかりの方向けの記事です。 利益と儲けは違う 利益と儲けは、すごく...

利益と儲けが違うということは、利益とお金の流れ(キャッシュフロー)が大きく違うことになります。そのため、損益計算書やキャッシュフロー計算書をみるときに注意が必要ということになります。

まず、そもそも減価償却がどんなものかを簡単に振り返りつつ、損益計算書やキャシュフロー計算書をみるときの注意点について記載しています。

そもそも減価償却って何?

減価償却とは

そもそも減価償却とは何でしょうか?

資産は、購入して使用し始めてから壊れるまで使用することができます。この使用し始めてから壊れるまでの期間を耐用年数といいます。この期間は通常は1年を超えるものがほとんどです。

いっぽう、利益の計算は基本的に1年を単位として計算をします。ご存知のとおり、利益の計算は売上から仕入や経費を差し引いたものです。

ここで、ややこしい考え方がでてきます。

そもそも経費となるものは、売上に貢献するために支払う物やサービスのことをいいます。だから、使ってはじめて売上に貢献するから、使わないと経費にならないんです。ほとんどの場合、使っても1年を超えない期間で消耗してしまう物やサービスなのであまり気にする必要はありませんが、上記の資産は違います。

耐用年数が1年を超えるので、一度に経費にするのはおかしいでしょ!だから耐用年数で案分して経費にしましょう!

これが減価償却の考え方です。そして、按分した結果、減価償却費として経費になります。

どんなものが減価償却をしないといけないのか?

上記の資産のように、減価償却をしなければならないものを減価償却資産といいます。どのような資産があるかというと、建物、機械、車、備品、ソフトウェアなどの資産が挙げられます。

ただし、備品のように購入する金額が少額のもの全てについて、減価償却しなければならないと計算がたいへんになるので、基本的には10万円以上のものが対象となります。

耐用年数については、個人事業者の場合は所得税法に、法人の場合は法人税法によって、決められています。また、按分の方法も定額法や定率法などというように資産ごとに決められているものもあれば、選択できるものもあります。さらには、購入時に一度に経費にすることができるものもあります。詳細は手引きなどでご確認ください。

減価償却でお金の流れはどうなるか

例えば、500のソフトウェアを購入したとします。ここでは簡略化して耐用年数を5年、定額法で計算した例を見てみます。

もちろん、500のソフトウェアを購入したので、購入時にお金を支払ます。これに対して、経費となるのは、購入した年から5年にわたって、100づつが経費となります。

このように、お金の流れと経費となるタイミングがまったく変わってしまうのが減価償却です。

利益や儲けを見る上で注意すべき点

利益や儲けを見る上で注意すべき点、資産の購入時と減価償却費計上で異なりますので、それぞれについてみてみます。

購入時

利益を見るためには損益計算書を見ますが、お金は資産の購入時に支出します。しかし、損益計算書には、減価償却費として費用になっていない、もしくは一部が費用となっているだけなので、損益計算書だけを見ても意味がありません。この場合は、お金の流れをみるためにキャッシュフロー計算書を見る必要があります。

また、資産を購入するためのお金はどこから捻出するかということになりますが、そのお金は創業から蓄えたお金になります。創業から蓄えたお金では足りないということであれば、銀行からの融資など資金を調達する必要があります。資金の調達が難しいようであれば、資産をリースすることも検討しましょう。

減価償却費計上時

購入時にお金を支出しているため、減価償却費を計上しても実際にお金は動きません。ですから、当期はどうしても利益があがらない場合は、まずは利益に減価償却費をプラスした金額が、年間の借入返済金額など損益には出てこない支払金額を超えているか確認してみてください。この金額が超えていれば、資産購入後のお金は減っていないことになります。

ただし、減価償却費を考慮しても利益が出ていない状態が続いているのであれば、資産の購入前よりもお金は減っていることに違いはありませんので油断禁物です。