この記事は、個人事業者・経営者向けの記事です。
目次
なぜ、節税をするのか?
あなたはなぜ、節税をしたいと考えていますか?
節税をする=支払う税金が減る
と考えているからではないでしょうか。
では、もう一歩踏み込んで、
支払う税金が減る=お金が増える
と考えていないですか?ほんとうにそうでしょうか?
資金繰りがしんどいから、資金繰りをよくしたいから、お金を少しでも増やしたいという気持ちはわかります。もし、これが逆だったら、ぞっとしませんか?
もしくは、
支払う税金が減る=国にお金を支払うのが嫌だ
と考えていますか?
政治家が不正にお金を使っているニュースなどをみると、自分が頑張って稼いだお金を払いたくないという気持ちはわかります。でも、支払う税金以上に自分が頑張って稼いだお金が無くなっていたら、嫌じゃないですか?
まず、節税自体をおおまかに分類し、その特徴を把握したいと思います。
節税の分類と特徴
節税を分類すると、大きく
①利益の繰延
②税金の免除
の2つにわけることができます。
まず、利益の繰延とは、文字通り
利益を繰り延べて
税金を安くするということです。
ご存知のとおり、所得税や法人税は利益に対して税金がかかります。そのため、経費を大きくして利益を小さくし、かかる税金を少なくする方法です。
次に、税金の免除ですが、こちらは
支払う税金自体の一部を免除する
方法です。
上記の分類を資金繰りとの関連からさらに分類すると、
①利益の繰延(支出を伴うもの)
②税金の免除(支出を伴うもの)
③利益の繰延(支出を伴わないもの)
④税金の免除(支出を伴わないもの)
となります。この分類ごとに特徴をみてみます。
利益の繰延(支出を伴うもの)
節税の効果が大きいものの大半は、この分類、もしくは税金の免除(支出を伴うもの)のいずれかに分類されます。
それはなぜでしょうか?
そもそも節税は法律で認められた税金を減らす方法です。では、なぜ国は、わざわざ税金を減らす方法を法律で認めてくれるのでしょうか。現時点では多額の借金がある国にもかかわらず。
それは、経済の発展を見込んで、その事業に投資することを推奨しているためです。将来の税収に投資しているんです。だから、前提として、
お金をつかって設備投資をする
ことになり、お金の支出が伴うことになります。
税金の免除(支出を伴うもの)
上記の利益の繰延(支出を伴うもの)で記載したとおり、節税の効果が大きいものとなりますが、同じくお金をつかって設備投資をすることが前提となります。
基本的には利益の繰延(支出を伴うもの)と税金の免除(支出を伴うもの)は表裏一体となっている場合が多く、ある設備投資をしたときにどちらかを選択する形式になっています。数多くある条件の中で、この条件を満たさない場合はこちらだけ選択できるというふうに。いずれも選択できる場合は、当期・翌期の利益や現時点での資金繰りの観点から選択することになります。
利益の繰延(支出を伴わないもの)
節税の効果は小さいですが、お金の支出を伴わずにできる節税の大半はこの分類になります。経理処理によるところが大きく、効果も短期的なものが多いため、節税の効果の割には経理処理に時間やコストがかかりがちです。もしかすると、節税のためにしたけど、まったく効果が出ていないということもあります。
利益の繰延はあくまでも、経費の前倒しにしかすぎません。
当期の利益が小さくなっても、翌期以降はその分大きくなります。躍起になって、するべき節税だとは思いません。
税金の免除(支出を伴わないもの)
実はこの分類になるものは、ほぼありません。
直接的なものではありませんが、個人事業者の青色申告特別控除が代表的な例です。個人事業者の青色申告特別控除の効果について、知りたい場合は下記の記事をご覧ください。
上記のほか、税率の差を利用するものとして、個人事業者から法人へ移行する「法人成り」が挙げられますが、法人設立に関する費用や法人の維持費用がいることなどから、節税のみならず、総合的な判断が必要となります。
節税と資金繰り
上記のように、節税の効果が大きいものを利用する場合、かならずお金の支出が伴います。
特に、利益の繰延については事業を続けていく前提で考えた場合、税金自体が安くなっているわけではありません。税金自体が安くなるのは、
・当期と翌期以降の利益に明らかに差があり、税率がかわる場合
・本社を移転し、土地を買い替える場合
など、特殊な場合です。
節税を行うとお金がどうかわるか具体的に知りたい場合は、下記の記事をご覧ください。
また、節税を行って利益を小さくする行為は、自分で自分の首を絞めているようなものです。なぜなら、銀行からの借り入れを自分で難しくしているからです。銀行は利益が出ている会社にお金を貸したいと思います。銀行も商売です。貸したお金をちゃんと返してくれるところに貸したいわけです。あなたが銀行なら、利益がでているところか、利益がでていないところかどちらに貸したいですか?
このように、効果の大きな節税は、
①事業を行うお金がなくなる
②銀行からの借り入れを難しくする
などの経営上のデメリットが大きいことを認識すべきです。